古くから拓け、かつて「印賀鋼」のブランド名で全国にその名を知られた日南町大宮地区。その旧小学校の教室を再活用した「たたらの楽校・大宮楽舎」では、たたらの原理や人類の鉄利用の歴史、船通山を舞台とする「八岐大蛇神話」についての解説をしている他、別の教室では昔の民具などを多用して「炭焼き」の展示があり、また古墳時代の歴史解説がなされ、さらに地元のものづくりグループ「つくし工房」のギャラリーがあるなど内容充実!地域の皆さんの手によって、日々進化を遂げています!
開校■月曜日~金曜日 10時~16時
場所■鳥取県日野郡日南町印賀1516番地 大宮地域振興センター
TEL■ 0859-87-0911 ■入館無料
●日本の鉄と「たたら」の歴史を知ろう!
古来から人間の暮らしを豊かにしてきた「鉄」。時代の移り変わりとともに、鉄がどのように求められてきたのか。また日本独自の製鉄法「たたら」の技術がどのように進歩し、やがて廃れていったのかをわかりやすく紹介しています。
●「たたら」の原理を知ろう!
「還元反応」という「たたらの原理」を、鉄之進と酸素ちゃん、そして一酸化タンゾーが登場する『銘刀になった鉄之進の物語り』で楽しく学びます。
●印賀鋼、船通山、そしてヤマタノオロチ伝説
出雲神話にあるヤマタノオロチ伝説は、日南町の船通山を舞台にしています。三種の神器のひとつ「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が、オロチのしっぽから出てくるというこのお話しと、この地の「たたら」との関係を想像します。
たたらや炭焼きに使っていた道具類を始め、鋤や田植え定規、草取り用の田押し車などの農機具、山仕事の道具などが所狭しと展示されています。その間には「炭焼き小屋」の模型があり、たたら用の「大炭」や、鍛冶用の「小炭」を焼いている作業風景がフィギュアで再現され、また大昔の「野だたら」の作業風景も見ることができます。年配の皆さんには懐かしいものばかり、現代の子供たちには珍しいものばかり。子供さんやお孫さんと一緒に訪れると、とても楽しい時間が過ごせるはずです。
縄文時代、祭祀に使われたと言われる石棒や古墳時代の石棺など、この地域にまつわる古代を紹介している「古代の森」の教室。これらはこの地域が古くから拓けていたことを示しており、大宮のすぐ隣、阿毘縁大原に平安時代の「伯耆安綱」の伝承が残っていることも大いに頷けます。
また建長6(1254)年、当地の古都家初代、文次郎信賢(もんじろうのぶちか)は、院の御所の北面で警固(けいご)に当たる武士であったが、良鉄を求めて印賀に入り、宝谷の奥の阿太上(あたあげ)に鑪(たたら)を作ったと伝えられ、「伯耆の製鉄の始祖」とも言われています。
さらに時代が下り南北朝時代、正平12(1357)年、八幡山に建立されたという印賀宝篋印塔(いんがほうきょういんとう)もそうした古い歴史の語り部で、ここにはその実寸大の模型も展示されています。これは南北朝の戦乱時代、ここ印賀の武士、二百余名も南朝方に加勢するため九州に出陣することになり、「生きて再びこの印賀の地に帰ることはなかろう」という思いで、自らの死後の冥福を祈るため供養(生前葬)の証として建てた石塔です。
このようにこの地域は古くから拓け、近代に至るまで良質の鋼を産する「たたら」の大産地であったことがよく理解できます。
地元のご婦人たちを中心として創作されたグッズや作品の展示・販売スペースです。愛らしいオオサンショウウオのクッションや、地元の「楽々福神社」に祀られた福姫にちなむ「パワーストーン(鉄滓)入り福袋」、リースや陶芸品など楽しい小物がたくさん展示されています。また室内では珈琲や紅茶をいただくこともでき、予約があればリース作りや絵手紙の体験もできます。
予約/090-3744-8061