たたらを巡る科学の旅

「たたら」を優れた教育素材として活かしたい、そんな思いから制作されました。

ヨコA4、16ページのこの小冊子は2019年に「奥日野たたらの里づくりプロジェクト」の中で制作したものです。

たたら→鉄→地球・生命→燃焼→人類文明・・・と、「たたら」からはさまざまなテーマが連なり、科学全般を見渡す楽しい旅ができます。ところで現在の学校教育の中では、中学校〜高校〜大学と進むにつれ、科学全般のつながりを十分に理解する間もなく、学科はどんどん細分化・専門化され、選択を迫られて専門外のことにはどうしても疎くなっていきます。そうした時、現役の中高生、大学生はもとより、急速に進む科学技術から置いてけぼりを食っている大人の皆さんにも、ぜひこの1冊を手にしていただけたらと思います。

日々急速に進化している科学技術、それを理解するためのベース基地です。

この冊子を制作した2019年からわずか3〜4年の間にも、凄まじい勢いで新たな科学的発見や技術開発が進んでいます。

例えば、探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星りゅうぐうの砂試料から、細胞内でタンパク質の合成などを担う遺伝物質のリボ核酸(RNA)を構成するウラシルという塩基や、体内で代謝などに関わるビタミンBの一種ナイアシンを検出したと、北海道大や九州大の研究チームが2023年3月21日付の英科学誌に発表。私たちの遠い先祖となる生命が、約40億年前に降り注いだ隕石に由来するという説を確証に近づけました。

また昨今、脱炭素社会の実現に向けて、制作時にはほとんど取り上げていない水素やアンモニウムが、新たなエネルギー源として大いに注目され、これらに関する技術革新もどんどん進んでいます。こうした日々のニュースに触れる時、この小冊子をベースにすれば少なからず理解が進みやすいのではないかと思います。そうした意味でもぜひ皆さんの生活の糧にしていただければ幸いです。冊子に登場する鉄之進や酸素ちゃんをはじめ、「オシリコン」や「理知産むママ&イオンボーイズ」など、キャラクターたちも可愛がってやってください(笑)



00/プロローグ 01/地球の誕生  02/生命の誕生と進化

03/動植物の生命活動

04/火と人間

05/鉄と人間

06/奥日野のたたら製鉄

07/産業革命(第1次〜第4次)

08/科学は神の領域へ!? 09/現在の地球 10/エピローグ