たたらと山陰の風土

山陰中央部の地形と風土は、たたら製鉄によって作られた!?

たたらが造った、左右にキレイなシンメトリーの地形。

●ヤマタノオロチ神話の舞台、船通山に源を発する日野川(ひのがわ)と斐伊川(ひいかわ)。このふたつの「火の川」流域はかつて、たたら製鉄の主産地として在りました。

●たたらでは、山々を切り崩して鉄穴流しをし、山々の木を切って炭焼きをし、砂鉄と木炭を以て作ったのは鉄。しかし長年にわたるそうした営みは、地形を大きく変造することになったのです。

●ふたつの「火の川」が下流へと至り、鉄穴流しで出た大量の砂が、島根半島に向けて大きな砂洲を造成。

●西側には稲佐の浜、その先端部には八百万の神々がおわす出雲。東側には弓ヶ浜、その先端部には妖怪たちが棲まう境港。

●山陰中央部は船通山を中心として、キレイな対照形を成しており、たたらはその精神性にまで大きく影響を及ぼしているかのようです。


荒神神楽で知られる「八岐大蛇神話」、その舞台は船通山。

伯耆国(鳥取県西部)と出雲国(島根県東部)の国境に位置する船通山。「ヤマタノオロチ神話」では、姉である天照大神の怒りに触れ、高天原を追放された素戔嗚尊がこの地に降り立ち、食べられそうになった奇稲田姫を救うために八岐大蛇を退治したところ、その尾から三種の神器のひとつ、「天叢雲剣」が出顕したとされます。

八つの頭と八つの尾を持った八岐大蛇の描写は、鉄錆で赤く濁って氾濫を繰り返す火の川や、メラメラと燃える炎がその眼を連想させ、「たたら」そのもののようでもあり、また出顕した剣は「鉄の産出」を表しているとも言われます。

 

毎年7月末には、船通山山頂で「宣楊祭」が執り行われます。


日野川と斐伊川、ふたつの「火の川」。(以下、工事中です)